≪意見を異にしたこと・疑問に思ったこと≫
3.諸情勢
・今後、保育施設は地域に密着した施設と位置付けられる事はその通りで、「誰でも通園制度」が始まると、DV家庭への支援も欠かせなくなる。そのような家庭が施設を利用した場合、DVが窺える事で通報した場合、逆上してくる恐れもあり、施設や保育者への体力的・精神的負担が増えてくる可能性大。
(3)ー② 保育人材の確保
・自治体との協議を含む施設側のやりくりに問題があるように感じる。園児数に対して職員が極端に少なく、管理職まで保育者と同じような業務をしているような状態でもない限り、労働者の権利を保障できる環境を整えるよう努めるのが管理職の務めと考える。
(3)-④ 人口減少に伴う保育所・認定こども園等
・意見を異にした。保育所等が閉園・経営困難となってしまう状況下で、こどもたちに何ができるのか?という問題提起をしているという認識である。保育所等に最低限求められるのは「保護者が働いている時間(こどもを見ていられない時間)にこどもを預けることができること」であり、こどもの教育に関してはそれができてから初めて考えられることだと考える。そのため、前提として保育所等が経営できていることが必要だと考える。
以上より、私は経営を長く続けてこどもを預かることができる状態を維持することが重要なのではないかと考える。経営自体ができないのであればそもそもこどもに必要十分なことができない。そのため、何かしらの資金源を新しい方法で作るべきだと考える。
現実問題として、それができないから資料のような内容になっていることは理解しているつもりだ。だからと言って簡単にこどもを受け入れるわけにはいかないとも考えている。ここまできてしまった以上、保育所等のみで解決するのはもはや不可能と考えている。なぜなら、保育所等以外が保育に力を入れてくれるところに子育て世代は引っ越すからだ。引越し先でも仕事ができて、引越し先の方が得になるなら誰だって引っ越すだろう。そのため、市町村や都道府県等が動いてくれないともはや解消できない問題だと考えている。以上から、保育所等ができることは少ないと考えている。
・『自治体が保育に対する責任を果たすことのできる施策を早急に検討し、実現するよう国に求めるとともに、地方自治体への積極的な働きかけも必要』
➡この少子化トレンドはいまに始まったことではなく、子どもが減れば保育所等の状況も変化していくことは容易に想像できたと考える。「自治体が保育に対する責任を果たすことのできる施策」がいつになったら出来上がるのかをただ待っているのではなく、現場から発信していくことが必要である。
5.地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは ~質の高い保育・幼児教育を提供する施設であること
地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは
・『保護者を主体とした子どもを「預ける」という視点では、例えば、労働者としての保護者が子どもを預け、施設が代わりに子育てをするという意味で地域に欠かせないインフラである』
➡保育所・認定こども園が子育てをする認識となり、そのために地域に必要な施設という捉え方をされると、注文をつけだしたりすることが予想され、保護者の顔色を伺うようになりかねない。
➡子育て世帯や地域社会のインフラとして今後、多様な保育ニーズに応えていく姿勢は大切だと思うが、保護者が子どもを預け、施設が代わりに子育てをするという意味でのインフラではあってほしくはない。あくまで、子育ての主体・責任者は保護者であるべきであると思う。共に子育てをするとともに、子育ての楽しさや喜びを伝える一助となるインフラでありたい。
・『総合的な生活支援を行う社会資源』
➡社会資源として重要なことは理解できるが、多岐にわたる商品を扱う小売業であるコンビニであるべきではないと考える。コンビニというよりは地域の図書館やコミュニティーセンターのような専門的な知識を要し、解決に導いたり、悩みを共有できたりできる場所となるべき。コンビニであると入りやすい部分はあるが、責任の部分において軽くなってしまうのではないか。
地域に欠かせない保育所・認定こども園等であるため、自らが何を行うことが必要か
・『保護者のニーズに応えて「預かる」体制を整える』
➡個人的に保育・教育を行う施設として「預かる」という言葉が違和感である。「預かる」という言葉が保育所や認定こども園の立ち位置を変えてしまい、運営面や職員の地位向上における弊害になってるのではないか。
・『他機関と連携をするなかで提供する役割を果たせるならば、そこへの人口流入は確実に起こるであろうし、地域創生に欠かせない存在になりえると考える』
➡疑問を感じる。子育て世帯が、そのような機能があったところで、その町に魅力を感じ人口流入が確実に起きるとは思えない。地方創生の、地方について人口何万人程度を想定されているかにもよるが、私が住んでいる人口2万人程度の街には、大人が遊ぶ場所、買い物(ファッション等)する場所、老後一人で過ごせるか、インフラ整備等、子育て世帯となりえる若者にとって魅力ある街でない限り、転入の動機にはならないと考える。また、実際都会から地方へ住んだものとして、苦痛に感じるのが、市独自ルールがある事、自治会や消防団等仕事以外の活動に時間と労力を割く必要がある事、子どもへ質の高い教育を提供できる学校等がないなどがある。日常の生活の満足度を向上させたうえで、付加的な役割として提言があったような事を行わないと、人口流入にはつながらないと思う。
「すでに子どもの数が減少し、保育の継続が困難になっている地域」
・『保育等の実践を言語化して発信・周知することで地域の人びとの理解と支持を得ることが大切』
➡これは保育継続が困難になっている地域だけではないと思う。どこの地域でももっと保育所・認定こども園等が行っていることを知ってもらいたいと強く願う。そのために自園でもどう発信していけばいいか、考えていきたい。
6.「すでに子どもの数が減少し、保育の継続が困難になっている地域の保育課題と対応」
・人口減少地域における乳幼児施設の運営が非常に厳しい実態が分かった。
・地域に保育所を残す取り組みは当然大切だが、移設の支援も必要だと感じる。
・地域存続のため、地域のこどもの育ちを守るために乳幼児施設を残していく必要があるが、一方で乳幼児の保育サービスは供給過多となっており、それぞれの園で定員割れが起きている。園児の定員割れは保育者の長時間労働に繋がり保育士不足を加速させていると記載されていたが、そのような状況で保育の質はどうのように確保できているのか。
・自治体は町の存続を目指すのか、消滅を視野に入れた運営を行うのか、乳幼児施設と共有する必要があると感じた。乳幼児施設の今後の方向性を決めるためにも自治体の計画が必要だと思う。
・国には残す自治体と統合消滅する自治体とを分け、生産性の高い地域を中心に過疎地を統合し建設的な町づくりを行ってほしい。現在のアメリカモデルの町づくり(車必須、巨大ショッピングセンター的なもの)ではなく、高齢者が車を使わずに人と交流できる広場があり、10~20万人規模で活気のある地方の町を再構想していく必要がある。
・熊本県でもそれぞれの自治体の政策で住民の取り合いが起きているように見える。自治体は存続の方法を探るだけではなく、町の消滅計画も視野にいれた移住の斡旋や自治体の統合等検討していく必要があると思う。
・乳幼児施設は同族経営が多い。園の統合は現実的ではないように感じる。 同族経営が多い中で法人や施設の統合は難しいのではないか。
・過疎地での運営が難しくなる中、施設をもたない法人の運営の方法など検討できるのではないだろうか。野外保育クラブ、キャンプ合宿、出張型保育サービスなど…
(1)ー② 保育人材の確保、職員配置基準
・『社会的評価が上がれば、業務の負担感や賃金に左右されない、やりがいを持った人材の定着にもつながります』
➡実際の保育士の思いと違うのではないかと感じた。人口減少地でもある徳島市では、保育士の有効求人倍率が高く3.47倍と高い水準である。保育士という人材を急に確保することは難しい状況のため所属する保育士の育成をしながらも保育士養成大学にも求人を出している。大学の先生や学生さんから話をきくと、園の方針の他に「正規職員ですか?」「給与は?」「休みの日数や連休は取れますか?」といったことを質問される。
中には、仕事が生きがいという人もいるが、保育士も生活していく為には給与の金額等にも敏感になってしまう。この資料には、社会的評価が上がれば、業務の負担感や賃金に左右されないやりがいを持った人材の定着とあるが、安心して保育士が働き、心と体を休めるには、社会的評価も大切だが安定した給与も必要になると思う。
キャリアアップ制度のように、本人が学ぶことで上がる給与制度と土曜日(平日だと子どもたちの遊びの連続性が切れてしまう)にもっと休暇がとれるような社会になれば保育士といく職業のなり手も増えるのではないかと思う。社会的評価のみではなく当園も、労働環境や待遇改善と共に進めていく課題と感じている。
≪保育人材の確保、職員配置基準等に関する取り組み≫(提案)
・『職員配置基準の改善 → 0.3兆円の内訳のうち、1歳児の職員配置の改善(6:1→5:1)、4・5歳児の職員配置の改善(30:1→25:1)』
➡まだまだ不十分であると思う。
・『職員配置基準の改善』
➡職員配置基準が1歳児5:1(2025年度以降)、4・5歳児25:1と見直しがされたのは大きな一歩であると感じる。職員の確保の問題等を考えると課題も多いと思うが、子どもの発達から見るとさらなる見直しが必要ではと思う。また、配置改善による加算の運用方法も併せて検討してほしいと思う。
(2)定員に関すること
・疑問に思った。保育に関わってこなかった私でさえ「少子化」という言葉は10年以上前から聞き続けている言葉だ。小学校で「少子高齢化」を習ったほどである。ここ数年では不景気も相まって少子化に関する内容をよく調べたりした。私のような付け焼き刃の知識でも、今後の日本で子どもを増やすのは並大抵のことでは無理であり、今すぐ動き出しても遅いくらいの日本存続の危機だと考えた。おそらく当事者である保育に関わる方々はもっと前からわかっていたことと思う。
以上を踏まえるとなぜまだ市町村等の対応が悪いのか疑問だ。市町村等側の対応が「子どもが増える前提」のように見えるのも疑問だ。
すでに兵庫県明石市というこども政策をした市が経済的にも人口的にもよくなった前例があるにもかかわらず、まだ対応ができていない、対応が遅いように感じる。この数年で明石市に子育て世代が引っ越しており、つまりそれ以外の市町村の人口減があっただろうにもかかわらず、まだ対応していないのでは遅すぎる。正直なところ、私個人としては「異常」・「不審」といった感想を持った。
(3)認定こども園について
・認定こども園のデメリットや、今後人口減少し定員を減少する場合認定こども園としてのデメリットということを自分自身が勉強していなかったため、今後の課題にしたいと感じた。
認定こども園とは、保護者の就労に関わらず子どもを受け入れ、就学前の子どもに教育及び保育を一体的に提供する機能をもつ施設だ。『保育園より基本単価も高く、設定する定員区分や運営の方法によっては、経営的なメリットもあります。』と本資料には書かれている。
まだまだ認定こども園のデメリットが十分に分かっておらず、今度自分たちの今の状況や定員が減ってきた時の運営の状況をしっかりと勉強していきたい。
・自治体ごとに財源の兼ね合いがあることは理解するが、本来は就学前の子どもに教育・保育を一体的に提供することを目的としているのだから、待機児童解消とは関係なく、子ども(=未来の地域を支える宝)への投資に消極的なのは理解に苦しむ。
・当園でも、数年前より認定こども園への移行を検討しているが、待機児童が減少した=移行を制限するという考えがある理由が分からない。(予算等の問題?)すべての子育て家庭の支援を行うことができる施設(1号認定の受入れ、地域子育て支援拠点事業の実施等)として期待される役割は大きいように思う。
認定こども園特有の課題についての意見等
・『コロナ禍において、地域子育て支援を行う施設も休園となったなかで、認定こども園も地域子育て支援を休止した。孤立している家庭がさらに孤立が深まったのではないか、地域子育て支援が義務化されている認定こども園が率先して行うべきではなかったか』
➡主幹保育教諭としてコロナ禍に子育ての支援を経験した。コロナ禍には園が急に休園措置をとらなければならず、定期的に子育ての支援として園内開放が行えない状況があった。公的な機関で子育ての支援を休止している中、こども園で行う安全性への責任は園にある中で、率先して行うことは難しかった。孤立してしまう家庭の為、もっと公的機関と連携して支援を行うことはできたかもしれないという反省はある。
(4)公立園の役割、行政と連携、講師連携型保育所など 公立保育所・認定こども園等についての意見等
・公立園だからできる、優位であるということは疑問がある。「公」としての役割は司令塔であり、現場リーダーだと思う。様々な事情を持つ家庭への支援を積極的に行い、その背中を民間に示していただきたい。
(5)ー② 多機能化
・保育所等が今後、「多機能化」していくことは施設の生き残りをかけてという点や様々なニーズに対応していく点でも必要なことではあると認識しているが、その過程において現在の保育士等へ負担をかける形になってしまうと機能しないと考える。増員や専門知識をしっかりと持った職員の育成や仕組みづくりを進めていかなくてはならない。
多機能化についての意見等
・『待機児童が発生している施設・地域(同一市町村内)から、定員に余裕のある施設へバスを運行する。待機場所として保育ステーションを開設。公・私・法人の枠を超えた施策』
➡都会では想像がつくのだろうが、地方の園(当園の周り)では、希望する園にいれたいと考える保護者と、仕事の為に空きのある施設を探して申し込む保護者がいる。同じ市町村内で空きのある施設利用はニーズがあるのかと感じた。
その他
・公定価格について
40/66問題等あるが、それ以外に、物価上昇だけでなく、消費税増税部分について、単価に反映されているのか疑問である。また、消費税分の相殺部分について、提言はできないのか。例えば、株式会社等事業所は、消費税を預かり、預かった消費税が100万円、支払った消費税が40万円の場合、差額60万円分を納入する。また、預かった消費税が40万円、支払った消費税が60万円の場合、差額20万円は、申告後に戻ってくるが、医療団体や保育園団体等、その適用除外になっている理由はなぜなのか。
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