《分析・提言が不十分だと感じたこと》
3.諸情勢
(1)ー② 令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書(内閣府)
・子どもが家庭環境(経済状況や婚姻状況 等)から受ける影響について述べられているが、困難家庭(貧困家庭やひとり親世帯)ほど0~2歳の「認可保育所や認定こども園」の利用が高い結果となっている。一方で困難家庭等の子どもの成績や大学進学率が低い結果となっているが、0~2歳の間「認可保育所や認定こども園」に通い、良質な保育を受けていた場合でも家庭環境による困難は覆せないものなのかについて長期による分析が知りたい。
・「暮らしの状況についての認識を問う設問」に関して、「苦しい」「大変苦しい」を合わせた割合等
これは、経済的苦しさを問うているのか?体力的苦しさ、時間の余裕のなさによる苦しさを問うているのか。私個人の場合で考えると、経済的苦しさはないが、体力的にきつく、時間の余裕の無さにより、暮らしの状況が苦しい、大変と感じる事が度々あり、子どもへの接し方に影響が出る場合があると考える。
・『「考察」では、保護者の経済状況や婚姻状況によって、子どもは学習・生活・心理面など広い範囲で深刻な影響を受ける』
➡その原因は何なのか。経済状況が貧困であり、塾や習い事等に子供を通わせることができないからなのか。保護者の知識による、日頃の会話に問題があるのか、保護者の経済状況や婚姻状況によって、子どもの関わる環境の変化について分析し、そこに直接法人が手立てを用意できないか検討したい。
(1)ー③ ドメスティック・バイオレンス(DV)
・増加傾向にあるが、年代別、家族構成、経済状況、地域別、時季(社会では5月病とかあるが・・・)等、その具体的要因、因果関係を知るためにも、各カテゴライズ別に相談件数のデータを知りたい。
(2)-① こども基本法の成立 ~こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長できる社会の実現
・『⑥ 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備』
➡子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備ということに対し、自分自身も勉強不足で、どのような形が子どもを持ち、育てたいと感じる人が増加することに繋がるのか、今後私自身も考えていくべき課題と感じている。
現在は、子どもを産み育てることに喜びを感じるよりも「大変」というキーワードが先行しているのか、結婚をしない若者や、結婚をしても子どもを持たないという選択をする人が増加していると聞く。
こども基本法に「子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現のためのサポートをすること」と記載されているが、この部分の対策や方法方針について自分自身も分からないことが多く、子ども達が笑い、幸せと感じられるように今後勉強していこうと思っている。
(3)-② 保育人材の確保
・『保育士の都道府県別有効求人倍率の年次比較(各年1月時点)』
➡要因の細分化及びコロナ前後の比較が必要だと考える。資料ではコロナによる影響で有効求人倍率が上昇したとあるが、コロナによる要因の中で何が影響していたのかを細分化するべきだと考える。その結果は未来の震災やコロナと同様のパンデミックが発生した際の指標にできると考えたからだ。また、コロナ前後で比較をした方が良いのではないかと考える。そもそもコロナ前から有効求人倍率が増えていたのであればコロナは関係ないのではないのかと気になる。
もっと踏み込むなら、もっとたくさんのサンプルデータを用意して統計的に処理をした方が良いかと考える。たった2データの場合、意見を主張しやすいデータを用いることができてしまうため、データの扱い方がわかる人だと「騙すためのデータではないか?」と思われても仕方ない。実際にこども家庭庁による結果(※を確認すると、毎年12月,1月あたりに有効求人倍率のピークが来ていることが分かる)ピーク付近のみを見てしまうと数値がばらつくのは当然なので、このデータの使い方は不信感を抱かせるかと思う。
※こども家庭庁HP「保育士の有効求人倍率の推移」よりhttps://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/0c26b1be/20240424_policies_hoiku_109.pdf
(3)-④ 人口減少に伴う保育所・認定こども園等
・人口減少の地域別検証が必要だと考える。資料では「地域の子どもの状況」等を収集しているが、もっと具体的な数字を収集しないと統計的に処理ができない。また、1年経てば引越し等で子どもの数が変わってしまうため、具体的な数字が数年分ないとまともなデータとして扱えない。
具体的なことで説明すると、明石市のように子ども政策をした場所では子育て世代の人口が増えていると考えられ、逆に他の市町村は明石市等に引っ越されたために人口が減ることは想像に容易い。このことから、瞬間的に人が減ったり増えたりということは容易に考えられるため、実現できる範囲で細かい地域別に毎月・毎年のデータを取得するべきだと考える。
以上を実行してまとめることで初めて地域のこどもの状況がわかるかと思う。その結果からどこに子育て世代が移動しているのかを追わなければ、根本原因が分からず対応も難しいかと考える。
・人口減少は始まっていて、R2年から国は特別委員会を立ち上げて検討してきたが、現在どのような対策を打ち出しているのか分からない。実際に園の経営が厳しく、閉園となった園もある。
5.地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは ~質の高い保育・幼児教育を提供する施設であること
地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは
・質の高い保育を提供できる体制づくりをと常に考え、職員の質の向上のために園内研修を実施したりしているが、なかなか難しいことがあると感じている。
地域に欠かせない保育所・認定こども園等であるため、自らが何を行うことが必要か
・『保育所・認定こども園等が、教育を提供している自覚と、ただ、「教育を行っています」ではなく、その保育・教育が小学校以降にどのように繋がっていくのかということを具体的に伝えることができる能力が必要』
➡この部分をもう少し保育所・認定こども園として在り方を検討するべきではないか。また、もう一つが切れ目ない教育支援という意味で、小学校などの教育施設において保育所・認定こども園における保育・教育がどこまで理解されているか、どこまで周知されているかを議論する必要があると考える。
・『保育所・認定こども園等には、核家族化が進むなかで「若い保護者」と「地域の人々の温かい見守り」をつなぐスキルが必要』
➡この部分が今一番職員に求められ、尚且つ難しい。これが保育の現場が疲弊するひとつの原因だと考える。そのため、この部分をより明確化し、養成校のときから学べていける環境を作っていく必要がある。
・人口減少地域での園経営は、今まで通りの経営では無理なのは分かるが、地域バランスを考えた複合型施設を考えるにしても、軌道に乗るまでの体力が施設に残っていない等、実際問題難しい。
6.「すでに子どもの数が減少し、保育の継続が困難になっている地域の保育課題と対応」
(1)-② 保育人材の確保、職員配置基準
・職員配置基準の取り組みについて、公定価格や人件費確保、育成の時間がとれない、保育士の負担軽減などある。保育指針も変わり、乳児保育の大切さが言われ、ひとりひとりの人権を守った丁寧な保育をすることが大切だという事が言われている。そもそも(限度はあるし、語弊があるかもしれないが)多くの子どもを一人で見られる、言い方が悪いがさばける、また大勢を一瞬でまとめられる、おむつ替えの手早い保育士などが、“出来る保育士”と見られていた時代はもう終わっているということをより強く訴えたい。
≪保育人材の確保、職員配置基準等に関する取り組み≫(提案)
・人口減少地域に限らず、どこの保育施設においても課題であると感じる。年々養成校へ入学する学生も減少していると聞き、今後ますます保育人材の確保が難しくなってくる。施設内ではICTによる事務負担軽減やノンコンタクトタイム導入等、働きやすい職場を目指して取り組みは行っているが、確保・定着が難しいと感じることもある。保育士になりたいと思える人が増えるような対策も併せて行っていかなければ。
(2)-① 定員変更
・子どもの減少に合わせて、施設は少しでも運営費を上昇すべく定員変更等の申請を行うが、それを認めない自治体があると記載がある。(現に横浜市もそのような傾向がある)これに関して、国の周知が充分ではなく、自治体の感覚になってしまっている状況が発生しているならば、更なる分析や提言が必要であると考える。
(2)-② 最低定員(20名)の基準
・『過疎地やへき地では、現在の保育園等の特例として、20名以下の定員として運営することを認めるような運用ができれば、施設種別の変更等せずそのまま運営できるのではないか』
➡過疎地やへき地に限らず、同じ市町村でも定員割れの起きている園、起きていない園があり、線引きが難しいと感じる。過疎地やへき地に限らず、定員を下回っている園に特例措置はできないのだろうかと感じた。
(3)認定こども園について
・『1号認定子どもが激減することで、認定こども園の存在意義があいまいになっている地域がある』
➡“教育を受ける権利は3歳以上の全ての子どもにある”ので、保護者の就労要件に関わらず、全ての子どもが教育を受ける機会は保障されるべきである。したがって、教育認定と保育認定の子どもが一緒に教育・保育を受けられる認定こども園の必要性が揺らぐことはないのではないか。
(4)公立園の役割、行政との連携、公私連携型保育所など
・『人口減少地域において、子どもの数が減少する中で公立の保育所・認定こども園等が果たす役割は大きいものの、必ずしもその役割や機能が考慮される状況ではない地域もあります』
➡公立園が、私立園と違い公立園としての役割があり、地域の子育て支援のためにどのような役割をしているのか知っていく必要を感じた。徳島市は人口減少となり、公立の幼稚園は拠点化が進んでいる。世の中で公立園の役割と私立園の役割が明確化はされていないと感じている。公立園・私立園と同じ地域の子ども達を受け入れる施設として連携や交流(気持ちの上でハードルが高いと感じているが)によって役割分担がどのように明確化されるのか十分に分析がなされていないように見えた。
公立保育所・認定こども園等についての意見等
・『今回のコロナ禍で分かったのは、いかに「公」が大切かということ。福祉や医療・教育には、「公」の部分が一定数必要である。公立保育園の重要性と使命、民間保育園やこども園の先進性と多様性。公民がお互いに切磋琢磨していくためにも、5割くらいの公立園が必要だと思う。そのことが保育の質の向上に繋がっていくのではないか』
➡「公」の強みはあると感じているが、切磋琢磨というよりも、協力し合う仲であれば、「公」の役割を保育所やこども園と連携して、その役目を果たすことで、公立園が5割必要という考えでなくてもよいのでないかと思う。
≪公立保育所・認定こども園等に関する取り組み≫(提案)
・『(すべてを自治体任せにしない)』
➡その通りと思うが、国から自治体へ働きかけるプロポーザーやコンシェルジュなど、もう一歩踏み込んでもよいのではないか。自治体は様々なメニューが降りてきてもすぐには対応できないケースが多いように感じるので、制度構築にかかる関係者との情報交換に時間を割くべきと考える。
(5)-① 社会福祉連携推進法人、共生型サービスなど
・現在は考えていないが、今後さらに少子高齢化が進んでいくと、対策の1つとして検討していかなければならない。しかし、まだ事例も少なく、課題が多いように感じる。(方針決定や職員理解、まず連携法人が見つかるのか等)
共生型サービスについての意見等
・複合福祉施設や共生型サービス、多機能化は非常に理想的な場と考える。子どもの居場所、保護者の頼れる所、という点では今後とても重要な場所となっていくことが予想できる。また、多職種で連携していくことも多様化サービスの中では大変重要だと考える。ただ、高齢者分野の人材と子ども分野の人材の共生には(大きなくくりで福祉分野であること、お世話や日常生活のサポートなど共通部分が多い事も理解できるが)非常に課題は多く、より密な分析や調整が必要と考える。
≪社会福祉連携推進法人、共生型サービスなどに関する取り組み≫(提案)
・『社会福祉連携推進法人制度の活用に関する検討』
➡現状として中々全国的に普及しているとは思えないので、より具体的に連携推進法人においてどんなことがやれるのか・やりたいのかを検討していくべきだと考える。また、社会福祉連携推進法人は、成り立ちが一般社団法人であり、税金等の対象となる。この部分を非課税にできないのか、社会福祉法人で設立できないのかを検討したい。
その他
・過疎地が多くなっており、運営が厳しいとの意見ばかりで、実際にこうしたら、生き残って運営できているという例がない(少ない)。さらに先を見据えている提言が不足。
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