《意見を異にしたこと、疑問に思ったこと》
第1章 人口動態から考える乳幼児教育・保育の課題と解決へのアプローチ
1-まとめ 都市集中型から地方分散型へ(地方の再構想と出生率の回復)
・概ね理解できるが、10万人〜20万人規模の都市を複数作るには国土の割に人口が少なすぎるのではないか。実現したとして、併合によって消滅する自治体が多数出るため、意図的な国土改造が必要になると予想される。また、膨大な費用を投じて再編しようにも、コロニーとして機能しはじめるまでかなりの時間を要すると思う。少子化の波は止められないことを考えると、いたちごっこではないだろうか。
第2章 これからの乳幼児施設の役割
2-(3) 地域の全ての5歳児を受け入れる
・5歳児の施設入所の義務化は必要な仕組みであるという意見は間違っていると考える。資料では「小学生になる前の教育格差」及び「5歳児のこどもの教育状況が保障されているかどうか」等の懸念として施設入所の義務化を唱えているが、教育格差さえなくなるのであれば問題は解決すると思う。
今後のICTやAIが発達する世の中で、そういった教育格差というものは家庭のみの保育でも解消されていると考えられる。今はゲームで知らない誰かとオンラインプレイをするなんて当たり前の時代であり、コミュニケーション等の“対人であること”が必要とされてきたことも、必ずしも保育所である必要はなくなってくると考える。そのため、施設入所の義務化ではなく、5歳児に必要な教育が完了していることを証明するICTが必要だと考える。
第3章 望ましい教育・保育の提供をめざして
4-(4) オンラインの活用
・保護者が来園する行事で配信をすると記載されてるが、非常に厳しく感じた。私の園では、実際に見に行きたい・孫を見に行きたいという意見が多くあり、映像で写そうとすると、子どもを映してほしくないという保護者がいた。また、DVD等で映した時も、うちの子の映ってる時間が他の子よりも少ないなどクレームもあった。
4-(5) 仕事の細分化
・保育士ケアマネジャー(指導計画の作成)とあるが、計画作成者と保育・教育を行う人物は同じでないとPDCAサイクルが成立しなくなり、計画が意味をなさないと思う。保育者の仕事に計画作成は切り離せず、必要と感じる。
第4章 保育教諭と職員配置基準・教員資格化・評価・研修等
・職員配置基準を見直していくことに何の異論もないが、今回、4・5歳児の配置基準が変更になったが、期待していた結果にはならなかった。現に自治体によって独自の配置基準を行っている部分もある中で、住んでいる場所によって配置基準が異なるのはいかがなものだろうか。全国の自治体の独自基準における1番良い部分を組み合わせることが保育の質向上に繋がっていくのではないだろうか。
・これまでの一斉保育の基準から、“子どもたちが遊びを選択して活動し、その中で子どもたちの興味や関心に寄り添う。そのために、配置基準を今よりも手厚くする。”という意図の見える理想的な職員配置基準については、大いに賛成である。しかし、理想的な配置基準となっても一人一人の発達が見えるのか?個別の対応も行えるのか?と言うと、それだけでは難しいと考える。兵庫教育大学の水落先生の研究によると、保育経験の差により、子どもの気付きや深化した読み取りなどに違いが出ると言われている。子どもたちの今の興味関心を読み取り、そこからさらに成長するための環境や遊びは何であるかと考えられる保育者となるためには、新人保育者や経験の少ない保育者の育成も必要と感じている。そのため、子どもたちの教育水準を一定以上の保障するために、配置基準改善に合わせて、新人保育者の教育・専門性の向上、さらに学び続けられる環境もあればよいのではないかと思う。
1-(2) 理想的な職員配置基準
・強く共感するとともに、保育人材確保の難しさから不安も感じる。
2.保育と計画の分業化
・分業の進め方の1つとして指導計画や週案等を業務主任が立案する例が挙げられているが、これは違うのではないか。今の子どもたちの姿を一番見ているのは担任保育士なので、あくまで子どもたちの指導に関する計画は担任保育士、業務主任はその計画の確認や保育指導にあたる形が良いのではないか。しかし、保育士の負担軽減のため、保育の分業は必要不可欠なので、管理職や調理員含めチームで保育を考えていくことが大切だと思う。
3-(1) 保育教諭の働き方
・都市部と地方では養成校の数や学生の数など努力では埋められない壁があり、資格さえ取ってくれていればそれだけで十分という施設も少なからずある事が現実なので、理想と現実に悩む。
・チームとして保育を展開していく事は大切であり、今後も必要になると思うので自園でも実践していきたいことではある。実際に地方の専門職(カウンセラーや看護師等)は引く手数多で取り合いになっている現状もある。しかし、それ以前に専門職がいない。だが、そう言っていても何も変わらないので、連携推進法人や行政などと協力連携していくことが大切だと思う。
3-(2) 教員・教諭資格の在り方
・キャリアアップ制度について、より成熟したキャリアアップ制度として確立されるものと期待するとあるが、成熟したキャリアアップ制度の想像がつかない。
・保育の専門性を高めるためには資格取得時から高度にしていくことも理解できるが、保育士不足が叫ばれているなかで難しいのではないか。OJT等で学びながら、業務にあたることができる環境を整えることも大切。
4.評価制度等の構築
・自己評価や関係者評価など、学校ではないからと言われればそれまでだが、しなくて良いという理由にはならない気がする。色々な事情があるのかもしれないが、幼児教育施設としての格差を感じる。
5-まとめ さらに学び続ける体制と環境づくりを提言する
・さらに学び続ける体制として「新人教育とは?」という部分で悩んでいる。大学や短大で一定基準の勉強をして保育者となっているが、そこからも学び続けなければ質の向上は難しいということを保育者自身に理解してもらっている。その上で知識のアップデートをするための園内研修計画を用意しているが、指導する保育者の根気も必要な時代だと感じる。
第6章 様々な地域の施設、保育方法及び補助事業
1-(5) 社会福祉連携推進法人制度の創設について
・1法人1施設の園を運営する法人について、今後の制度に様々な補助があれば運営もよくなるだろう。また、連携推進法人による地域のニーズ対応やスケールメリット、老人ホームとの連携による付加価値の提供も必要だと思う。しかし、結局財源が必要なことと、老人ホーム等に関しても、労働力人口減少と老人の減少により、数年の延命措置になり、園と施設と共倒れになりかねない。連携推進法人に関しても、体力が弱いもの同士が連携するメリットがなく、助けることが難しいうえに、体力が強い企業や株式会社にとっては、連携するメリットを見出しにくいのではないか。
2-(2)-③ 今後の制度
・法人自体が付加価値を提供できていると仮定し、“提供している場所の違いによる差”はないのか考えていきたい。よく例に出されるが、自宅での水はほぼ無料に近く(水道料はかかっているが)、自販機で買う水は120円程度である。ホテルや富士山の頂上で買う水は200円を超える。海外では希少な水として評価される。これは水の能力が上がったわけでもなく、そこにコストがあるからでもない。希少価値や必要性の差である。
現在の社会福祉法人法では国外への資産移転を禁止されているが、例えば、地方で培った手厚い教育保育を海外で展開できるような法整備を行い、外貨を国外でいで国内に還流するような方法で、過疎地域でも運営を行えるようにすることは今後できないのであろうか。ディズニーランドが構築したノウハウを、世界に提供し、そのロイヤリティーを国内に還流するようなやり方を、日本の教育保育システムで行えないのか。
話はずれるが、外国人労働者の労働できる職種について、例えば農業など、その技能を学びに日本に来日し、技術を習得して帰国する技能実習生がいる。日本の農業は技能が高く、海外でも学びたいという一面もあるのではないか(実際は労働力としての目的なのかもしれないが)。そのような形で、例えば日本の教育・保育を学ぶ目的で外国人労働者の技能実習生の適用を広げ園へ受け入れる体制は取れないのか。過疎地域では少子化だけでなく、労働力不足やコミュニティの崩壊、人数減による各組織の崩壊が起きている。外国人労働者による労働力保持だけでなく、人口・コミュニティ維持や消費活動による経済活性化、園児を中心とした地域との交流など、グローバルな視点を過疎地域においても学べる環境を作ることができれば、都心部との教育格差は無くなっていくのではないか。
第7章 財源と今後の法人の在り方
3.社会福祉連携推進法人とは
・社会福祉法人同士の連携にはメリットよりもリスクを感じる。ほとんどの施設は地域の連盟組織に加入していると思うが、その中で研修会の開催や人材の確保、災害時の備え等すでに行われているものが多いと感じる。株式会社等の異なる業種と連携することのメリットや可能性についてもっと知りたいと思った。
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