《分析・提言が不十分だと思ったこと》
第2章 これからの乳幼児施設の役割
1-(2)-④ 様々な保育ニーズに対応する仕組み
・0・1・2歳児でおおむね50%以上が保育園に通っていないという状況である。子どもの育ちのばらつきをなくすため、格差をなくすためには、保育義務化という事も考えることができると思われる。保育義務化により、家庭生活の安定や地域の子育て力の構築、育児不安の解消という利点は本紙に記載の通りあると感じる。しかし、今は長時間保育による子どもたちへの負担や親の養育力の低下も言われている。子どもを預けるだけでなく、親の養育力を高めるためという点も含め、0・1・2歳児では親子通園のような選択肢があれば親にとってもよいのではないかと思われる。
保育をしている立場としては“子どもの為に”といった思いが強くなる傾向にある。もちろん私の思いは一方方向で十分ではないと思うが、園に預けっぱなしにならないといったことを考えていくことが大切と考えている。
1-(3) 乳幼児施設と家庭、地域とのつながりを強化する~アウトリーチの必要性~
・地域や小学校等のつながりは記載があるが、子どもを持つ親とのつながりについてもう少し記載が必要だと考える。その理由として、子どもができたことで精神的な余裕がなくなる方を前職で見かけた経験や、現在の保育園でもそういった方はいるということが挙げられる。具体的には、育児によってノイローゼになってしまう方、子どもがいるから弱音を吐く場を作ることができずに溜め込んでしまう方など、様々なケースが見られる。親が体調を崩すと子どもにも影響が出る。本当に子どものことを思うなら、親にも気を遣うべきだと考えた。そのため、保育者だからこそわかる愚痴や悩みを打ち明けられるような、つながりを作るべきだと考えた。
第3章 望ましい教育・保育の提供をめざして
4.保育者の働き方の提言
・労働時間と開所時間の不整合は、働き方改革とは真逆の性質を持っていると思う。時差出勤や早朝遅出担当の非常勤保育士の採用等も行っているが、働き方改革が今後さらに進んでいくと予想されるため、頭を悩ますことも多々ある。
・40/66時間問題に加えて休日数についても提言していきたい。昨今では、優秀な人材確保のために国家公務員も週休三日制を前提とした採用を行っている。しかし、定員が40名以下の園では、変形時間労働制を採用しても年間休日数が85日という職場も少なくない。調理員に限っては一日7時間勤務とし、293日勤務を前提とした職員配置の施設もある。採用難という次元の話だけでなく、現に働く人のワークライフバランスや家族とわが子とのかかわりを無視した働く環境にならざるを得ない事実を改善すべきだと思う。またこれに加えて、有給取得義務が5日あり、7年以上勤務する者は20日の有給取得権利が労働者にはある。有給休暇をすべて労働者が権利を行使した場合であっても子どもたちへ教育を提供する職員配置が可能な公定価格になっているのか、ノンコンタクトタイムを取得できる職員配置を想定した公定価格となっているのか検証と提言が必要である。
4-(3) お昼寝時間の活用
・お昼寝の時間を他の保育者が代わり、担当職員に時間を有効に使ってもらうことは望ましいが、人材不足だと言われている昨今、お昼寝の時間に合わせて人を雇い、見守ってもう「お昼寝士」を提言するのは難しいと感じる。お昼寝にはうつぶせ寝等リスクがあり、知識のある方でないと安心できない点もある。保育の質の低下の心配もある。
第4章 保育教諭と職員配置基準・教員資格化・評価・研修等
4.評価制度等の構築
・評価制度やその流れを構築することは大切だが、評価を受ける側の心構えとして、評価を受けること自体をもっとポジティブに捉えられるようにならなければいけないと考える。そのためには保育者自身の自信も必要だが、カジュアルに見せ合うような環境作りから始めるべきであり、見られることに慣れる経験が互いの切磋琢磨に繋がるのではないかと考える。
5-まとめ さらに学び続ける体制と環境づくりを提言する
・学び続ける体制と環境づくりには深く共感するが、できる環境を整えるには財源の難しさも感じる。
第6章 様々な地域の施設、保育の方法及び補助事業
5.保育施設のリスクマネジメント
・ここでは感染症、自然災害、人災、補助金の4視点から考察されている。これに加え、ここ最近では“施設として保育士をいかに守るかのリスクマネジメント”がとても大切であると感じる。
・新型コロナウイルス感染症の蔓延や各地で起こる自然災害など、保育施設を運営していくうえで様々なリスクがある。このようなことが起きた場合も、エッセンシャルワーカーとして業務に当たれるように日頃より計画を立てていかなければいけない。保育行政の支援は必須であるが、何か起こってからではなく、何が起こっても大丈夫なような保育体制を構築していくことが重要になるのではないか。
第7章 財源と今後の法人の在り方
1-(2)内部留保の扱い
・内部留保の取扱いについて、建築費の高騰や物価高騰に対応した建設補助単価や公定価格になっていない為、社会福祉充実残額の計算方法について再検討する必要がある。現在は1法人1施設の場合、建設当初の自主財源を考慮した内部留保の計算となり、今から建て替えを実際行った場合の自主財源は、内部留保額で到底足りない額となる。物価高騰や人件費高騰に対応した補助基準額や公定価格への反映を要望することも大切だが、内部留保の計算方法を再考し、充実残額の上限を引き上げ、緊急事態の対応など機動的に法人単独で動けるように改めて提案するべきだと思う。
4.社会インフラとしての保育所等の位置づけ 3施設類型の是非
・7プロポジション作成時に私が担当した部分について。子ども家庭庁が設立され、一見「幼保一元化」が進んだように見えるが、幼稚園は文部科学省に残り子ども家庭庁の目指す方向も本当に「子どもまんなか」なのか疑問が残る。今後、2040年に向けてこども家庭庁はどのようなリーダーシップを取っていくのだろうか。
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