当面する園運営の課題
「消滅可能性自治体」の一覧を参考に、参加者の自治体を下記のように振り分けている。
- その他(100万人以上)
- その他(50~100万人)
- その他(10~50万人)
- その他(10万人未満)
- ブラックホール型(20万人以上)
- 消滅可能性(3万人未満)
自園の建替え・改築、設備投資(ICTなど)
その他(人口50万~100万人)
・現在の園舎は築28年であり、当初は築50年で建て替えを予定していたが、床板の老朽化が進行していること、建築費の高騰、さらに今後園児が減少し安定した収入が見込めないことなどから、計画を建て替えから大規模修繕に変更した。現在は定員を超えた預かりにより安定した収入を確保できているため、令和7~8年度に大規模修繕と増築を行う予定である。
増築部分では不登校児の受け入れと学習支援を新設する予定だ。増築後は時代の変化に注視しながら、当面は慎重に状況を見守る方針である。かつては事業拡大や多機能化を検討していたが、少子化や人口減少を踏まえると、現状の当法人の力ではリスクが大きいと判断した。
その他(人口10万~50万人)
・幼保連携型認定こども園への移行を見据え、増築計画を予定している。自治体に施設整備の申請を出しており、結果はまだ来ていない。仮に申請が通らなかった場合でも、他に移行できる方法はないのか等を模索しながら法人内で協議していきたい。安定した経営はもちろんのこと、さらなる教育・保育の質向上についても考えていきたい。
その他(人口10万人未満)
➡敷地内に(α)築27年の軽量鉄骨と(β)築17年の木造の2つがあり、(α)では2、3歳児が、(β)では0、1、4、5歳児が過ごしている。(α)は無認可時代に建てたものであり、認定こども園を視野に入れて建てた(β)と比べて設備の質に差がある。
➡園舎が異なると交流の機会にも影響があり、園庭以外での交流時間は実態として多くない。これからは特に3歳以上児での交流を増やしたいと考えているので、物理面で解消できる部分は積極的に検討していきたい。
《構想》
➡全体的な建替えではなく、(β)に増築し、園児が同じ園舎で過ごせるようにしていきたい。その際、今まで園に無かったホールを作り、共通で使えるスペースとすることで、各クラスで遊びを継続できる環境を整えたいと考えている。また、園内での防犯カメラの設置を進めたいと思っている。構想通りの環境ができた場合、(α)をどのように扱うかはまだ考えていない。
《提案》
➡建替えや改築、設備投資には当然ながら多額の費用が必要となる。事業の安定的な運営のためにも、法人で別の事業(小規模保育事業など)を行いたいと考えているが、町に相談しても反応は芳しくない。
➡自園では事務以外でほとんど手書き、手計算で行われてるものが多い。
《今後》
➡ICTを少しずつ進めていきつつ、年配保育者が対応できるよう手書きも採用し、3~5年後には保育者全員が対応できるようにしていきたい。
消滅可能性(人口3万人未満)
・数年中に修繕はしていくが、10年スパンで行うのは建て替えが現実的。正直、ICTはどうでも良い。
利用子どもの確保
その他(人口50万~100万人)
・少子化が進む中において利用こどもを確保するには、向上し続ける保育の質と、向上し続ける保育の質を地域の保護者にPRできる発信力が重要だと考える。そのため、まずは今よりもっと保育の質を向上できるだけのスキル、実力を付けること。そのスキルを使って、質の高い保育実践ができる人材の育成と人材確保をすること。その質の高い保育と人材を口コミだけでなく、SNS等を使ってPRできる発信力を身に着けることが、利用こどもの確保に必要であると考える。
その他(人口10万~50万人)
➡青森市は定員割れが起きている。青森市保育所等空き状況(8月現在)では110施設の所育所・こども園のうち、定員空き無しが20施設。残り90施設は空きがある。
・2歳児3号認定保育料全額公費負担令和6年10月より実施。
・こども誰でも通園制度(試行的事業)7月より開始。実施施設は市内8施設。市役所では6月19日より利用受付を開始し、6月末までに12名の申し込みとなっている。(7月3日青森市子育て支援課より)
市内で定員が空いている施設が多くなっている。満3歳児1号入園に関しても、2歳児3号認定の公費負担により入園を考え直す保護者も出てくると感じる。また、青森市内にはこども誰でも通園制度も認知が広がっていない為、利用者が少ない。保育士の配置を1.0にしているが、人件費の採算が取れない状況である。来年度以降、先の入園児童を考えると、利用定員が埋まるとは考えにくい状況となっている。
《構想》
➡こども誰でも通園制度の認知を広めて、利用者に当園の教育・保育を知ってもらい、入園への繋がりを持てるようにしたい。
➡地域子育て支援を通して、地域の教育の担い手の一員になれるようにし、地域の幼児教育と関わりを持つ。
➡多様に使える施設(場所)を確保して、誰でも通園制度や地域交流事業等に利用し、受け入れ態勢を整えたい。令和8年度までに施設確保する予定。
《提案》
➡青森市のこども誰でも通園制度(試行的)は利用料金が1時間300円、利用可の時間は月10時間となっている。一時預かり事業と比較して、金額や利用時間にメリットが少ない。また、保護者が一時預かりと誰でも通園制度の違いを理解することが難しいように感じる。一時預かりと誰でも通園制度を分けて考える必要のないように地域の子育て支援を一体的に行えるような制度を作ってほしい。
➡もう一つは、先日、青森市に登録している子育て応援隊が主催する地域の子育てひろばに参加してきたが、応援隊の年齢が高齢化し担い手不足になっている話を聞いた。核家族化により、母親より上の世代の方に子どもの面倒を見てもらったり、お守りをしてもらう経験が少なくなっている今、小さい頃からいろんな方に関わり、面倒を見てもらうことの大切さを感じた。そういう方々にも子どもと関われる場を設けるようにし、地域の子どもが地域の様々な大人たちの関わりの中で育まれる環境作りを行ってもらいたい。
➡少子化と言われているものの、まだあまり深刻な状況ではない。ただ、鈴鹿市も年々子どもの生まれる数は減っている。市内でも山の方はどんどん子どもの数が減っている事を聞くので、いよいよ生き残っていくために、何か対策が必要であると感じている。自園に限った事ではあるが、近年、鈴鹿市は日本人の転入数より外国人の転入数の方が上回っている。そのため、在園児においても約20%が外国籍の子どもである。今後、外国籍の子ども達の方が割合が多くなるのではないかと考える事もある。少子化もそうだが、様々な国籍を受け入れられるような多様化に対する準備も必要になると感じている。
《構想》
➡具体的に何がやりたいかは何も決まっていないが、今後に向けて選ばれる園になることはもちろんだが、数を確保して多くの子どもに来てもらうよりも、同じ人に繰り返し園に来てもらうことが大切だと思っている。
➡0歳~小学校6年生までの子ども達が当園を利用しているが、今後は当園を利用していない子ども達や、大人~出産以降も、就労者、利用者、様々な形で関わることが出来る場所にしたいと考えている。
《提案》
➡人がどんどんいなくなるので、園に関わる人すべてが幸せになる(のは難しいかもしれないが)、そうなってほしい気持ちは持ち続けたいと思う。働いている人においても、その家族も大切にする気持ちで、何事も考えていきたいと思う。
➡自園のICTについて。今は様々なことが紙でやりとりされている。そもそもスマホやパソコンを用いた入力自体が難しそう。ICTの使用は、特に職員が慣れておらず難しそう。ペーパーレスや導入したICTを使いこなすなど、園内で改善したい部分がたくさんある。
《構想》
➡自園の問題として、直近ではICTがわからなくても便利になるものの開発をすすめていく(例えばカードをタッチするだけで出勤・退勤の時間を記録してくれるものの実装などを検討している。これならタッチするだけなので、利用側がICTをわからずとも運営側さえデータの扱いがわかれば便利になる)。長期的には、職員のICTレベルを上げ、もっと便利なものを使える園にしようと考えている。
将来的には、園内チャットや園児ごとの共有事項、クラスごとの共有事項といったものをスマホなどで読み書きできるようなものや、ワンタッチでヘルプの先生を呼べるボタンなどのお助けアイテムを導入したい。
《提案》
➡販売されているICT製品のレベルが低いと感じた。展示会に参加した際、販売されていた商品も「便利そうに見えるが全然便利でないもの」ばかりで、このままICTの開発が進んでもあまりいいものが出てくるとは思えない。そこで、保育関係者のICTレベルを上げてみることを提案する。展示会などで見つけたICTは本当に便利なものなのか、金を払うに値するものなのか、判断できるようになれば、購入者が本当に欲しいものを明確に言えるようになれば、企業側もそういうものを作らざるを得なくなる。そうすれば今よりもっといいものが出てきやすくなる。
肯定的に考えるなら、企業は「便利なものは作れるが、保育士が使いこなせない=作っても売れない」という問題を抱えていると思わる。便利なものを作っても、それを使いこなす地盤がないと宝の持ち腐れになってしまう。そのため、運営側だけでなく保育士もICTレベルが上がれば、保育ICTを作成する企業側が出せるICTレベルの上限も上げることができるだろう。もっと便利なICTが出てきてくれることはどの園にとっても良いことだと思う。ICTのレベルを上げ、全方位に便利な状況を作りたい!
➡地域の状況により、利用こどもが定員を大幅に超えるところもあれば、へき地では過疎化が進み、毎年のように利用定員を見直している。
《構想》
➡人口減少はやむを得ないことである。これからの10年先を見据えたブランディングの構築、そして安定的な運営にあった利用定員を策定し、園児の確保をしていきたい。
《提案》
➡今後の法人運営における利用定員の策定は大変重要になってくる。そのため、こども園の公定価格などが変更されたりする際に、もう少し国が幼児教育の在り方、地域における保育の在り方を提示し、それに沿った変更をお願いしたい。
消滅可能性(人口3万人未満)
・20人定員に下げた後の単価で、認定こども園の枠組みで経営していると思う。5年後も細く続いていると思う。(事実1クラス2、3人でも経営できているため)
また、現行の職員数より数年内に定年に伴う退職者が数名いるので、決算ベースの人件費が抑えられる(ベテランの人材が新人に入れ替わった後、魅力ある保育の質を担保できるか、手腕を問われる部分である)
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