全保協『人口減少地域における保育課題』について
《強く共感・納得したこと》
2.本検討について
・『地域が求める保育所・認定こども園等の持続可能な運営方策等について、保育所・認定こども園が自ら行うこと』
➡「地域に必要とされている園」「選ばれる園」になると考えているので、これはとても重要なことであると考える。
・『厚生労働省「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」の取りまとめにあるように』
➡今後のわが国において、小学校就学前の子どもたちに良質な保育を提供し続けていくこと、そのために重要な役割を果たす保育所・認定こども園などを地域社会のために欠かせない社会資源として維持していくことは非常に重要な課題である。
3.諸情勢
(3)ー② 保育人材の確保
・『多くの園においては配置基準を超える保育士等が勤務しています』
➡裏を返せば、現在の配置基準では安全な保育を提供することや、保育士等の働き方を変化させていくことは難しいということである。
(3)ー③ 「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」(厚生労働省)
・『わが国全体がすでに人口減少に転じていることからも一部の地域に限ったことではなく。時間や程度の差こそあれすべての地域において検討・対策が必要になる』
➡国が人口減少の局面にいる以上、今までと同様のやり方では施設を存続させていくことは難しくなるが、地域によっておかれている状況が異なるため、その特性をしっかり把握したうえでの対策が必要であると考える。
(3)ー④ 人口減少に伴う保育所・認定こども園等
・共感する。時間や程度の差はあるが、今は問題がなくても、対策をすぐにやることが必要だと思う。
4.就学前の子どもたちの健やかな育ちを保障するために
(3) 次代の地域を担う子どもたちを育む
・全てに強く共感する。保育所・認定こども園には関わりを通した学びを育むノウハウが蓄積されているため、それらは子どもや保育者を獲得する競争材料ではなく、自治体に働きかけて地域の活性化につなげるべきと考える。
・『子ども・子育て支援への積極的な取り組みが不可欠』、『地域活性化に欠かすことのできないインフラである』
➡強く共感した。ただ、本文中のように「保育所・認定こども園等による」というのは共感できない。「保育所・認定こども園等も市区町村も企業も住人もみんなが」だと思っている。私の世代で聞く話だと、子どもが安心して生活できる場を提供するだけでなく、地域での子育て支援を積極的に行うことが期待されている役割だと思っている。
・子育て世帯がその地域に暮らし続け、また、他地域から流入するよう促せる地域づくりは大切であり、その一環を施設が担っているので、施設に携わる人間として気を引き締める思いである。自園がある町は各地域に1つ園があり、その地域の園がなくなれば、その地域力が弱まり、転入も減る。そうすると、町全体の人口増も期待できない。
5.地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは ~質の高い保育・幼児教育を提供する施設であること
地域に欠かせない保育所・認定こども園等とは
・質の高い保育を提供し、地域に欠かせない認定こども園でありたいと願っている。
・『ライフを大切にできる働き方の提言を企業にも働きかけていくべきである』
➡強く共感した。私は先日まで企業のサラリーマンをしており、私の元上司たちについて見聞きしたことは、子育て中のお父さん・お母さんたちに登園や降園の時間について聞き取りをしている場面に遭遇したことが何度もあった。他にも私の元上司たちは「出勤できる時間」「帰宅の時間」「突発的な早退の有無」などを聞き取りしていた。家庭によって各時間が違うことは想像に容易いことだが、その報告方法が決まっていないと報告に時間がかかってしまう。
以上のように、保護者が会社への伝え方がわからない・上司側が今の子育てスタイルを知らないために、今の親世代をどう扱ったらいいのかがわからず、情報の聞き取りをするなどのケースが散見された。私が勤めていた企業は子育てに非常に明るく、男性社員の育休も推進するほどだったにも関わらずこの現状である。子育てに寄り添おうとしても、そのために必要な情報が何かわからない・判断するには情報量が少ないために対応がわからない。親世代の「ライフ」を大切にするためにも、企業が求めている情報や企業が実行しなければならないことを保育所等側がまとめて共有しても良いのかもしれない。本来は企業がやらなければならないことだとは思うが、少しでも親世代の負担を減らせるのであれば、保育所等側が行動を起こした方が良いと考える。
地域に欠かせない保育所・認定こども園等であるため、自らが何を行うことが必要か
・『保育者には、医師や保健師とは違った専門性があることを保育者自身が自覚し、・・・保育者にしかできない役割を行政との連携のなかで担うべき』
➡これは人材確保・離職防止にも繋がることだと思うが、保育の専門性について分からなくなっている保育士が多いと感じる。子育てをしている保護者と自分、やっていることは一緒だけど何が違うのか、とモヤモヤや葛藤が生まれないように、自信を持てる働きがいのある職場づくりが大切だと思う。
・『保育所・認定こども園等が、教育を提供しているという自覚と、ただ、「教育を行っています」ではなく、その教育が小学校以降にどのようにつながっていくのかということを具体的に伝えることができる能力が必要』
➡まだ当地域は保育園も教育をしているという認知度が低い上に、遊びの中で育つというイメージをしてもらいにくい。保護者への保育の理解、根拠づけの発信というのは非常に大切であると思う。0歳・1歳児保育の重要性について発信していくのも同様である。
➡保育者の大切な役割の1つだと感じている。保護者が就労等で子どもが見ることができない時の代わりではなく、子どもの将来を見据えて、今なにが必要なのかを家庭と協力して考えていくことが求められていると思う。
➡自園で行っている教育・保育を発信していくことの難しさを感じながらも、『公開保育』という方法で、昨年近隣小学校と連携をとり、園の活動を見てもらった。意見交換会も行い、園で行っている教育・保育が小学校教育の土台となっていることをお互いに確認し合えた。この経験を通して当園にとっては、公開保育が幼児教育について小学校へ伝える機会となることを再確認した。
・青森も人口減少が進んでおり、定員割れが起きている園や定員を引き下げている園もある。人口減少に伴い、園はどのように変化をしていけばよいのか考える必要性に迫られている。この勉強会や他の研修等で考えるヒントになればと思っている。
・長時間保育が常態化している中で、乳幼児施設は家庭で見えないこどもの姿も詳しく把握し記録に残している。乳幼児健診などは行政と違った視点で行えると思う。
・日頃から保護者や園児と接していることから、虐待の未然防止や虐待が発生した場合でもより近い距離からのアプローチが行える。また地域の目としても行政よりも実効性が高いと思う。制度として力をいれることで虐待防止に繋がると思う。
・児童が通った乳幼児施設内で、小学校への進学がスムーズに行かなかったこどもの卒園後のアフターフォローや、不登校児の居場所づくりを行うことはできないか。小1プロブレム、10代の自殺は非常に深刻な問題として取り組む必要がある。
6.「すでに子どもの数が減少し、保育の継続が困難になっている地域の保育課題と対応」
(1)-② 保育人材の確保、職員配置基準
・『入所児童数の減少は、配置基準を超えた保育士等の配置につながるものの、それは同時に、公定価格の積算根拠となる入所児童数の変動によって、人件費の確保が難しくなることにつながります』
➡強く共感し、経営の難しさを感じる。
保育人材の確保、職員配置基準等に関する指摘、特別委員会委員からの意見等
・全体的に強く共感するが、各種補助事業に関しても、財源が必要であり、それだけでなく、市長及び担当課、担当者の理解が必要。令和6年度ICTに関して、条件付きで1/12の市町村財政負担となったが、それでも市の財源に左右される。市の財源なしに、県や国の補助だけでも実施できる制度にならないのか。その場合のリスクはどのような事があるのかも考えていきたい。
また、財源の話になると昨今議論されているが、保険料の上乗せや高所得者への実質的な課税についてだが、現役子育て世帯の負担が増えない議論を誰がどのような形で提言していくのか。少子化の改善の為には、児童手当の給付は所得制限をなくしたが、扶養控除の縮小が行われるなど、現役子育て世帯の実質所得増加、N分のN方式の採用等の提言を行う必要があると思う。
≪保育人材の確保、職員配置基準等に関する取り組み≫(提案)
・『保育現場の魅力発信による保育人材のすそ野拡大』
➡これはまさにその通りであると思う。「保育士って大変な仕事だけど、楽しい、面白い、素敵な仕事」ということを我々がなかなか発信できていないのではないかと思う。
(2)定員に関すること
・利用定員の変更を認めない自治体が存在することが明らかになっているが、FAQ等を参考にして各施設が届け出を行う事で定員変更を行う施設が増えてきた。しかし、2,3号認定は市町村の利用調整権がある為、定員減を行った施設は1年間を通じて一切定員を超えてはいけない、超えそうな申し込みがあった場合は市が利用調整を行い入所させない、施設へは受け入れ可能と公表しないように指導する市町村も出てきている。
p36にも関係するが、定員設定の細分化の検討が必要である。市の担当者の理解では、国が21名から30名の定員設定を同一に単価設定しているのは「30名の定員で21名であっても運営できる」という認識であり、それは国の決められた制度なので、「定員20名に下げず30人定員で運営してください」と堂々と伝えてくる。7割の入所で運営を続けることが当然という、担当課の認識の改革が必要。
(5)多様な保育ニーズや地域子育て支援への取り組み
・施設の多機能化に向けた取り組みに共感する。
(5)-② 多機能化
・強く共感した。当園は、認定こども園として幼稚園・保育園・子育て支援施設・一時預かり保育を行っている。現在では、6歳になるとすべての子どもたちが当園を卒園していく。卒園した子どもたちは新しい環境に適応し、新しい人間関係を築く子もいれば、なかなか新しい環境で適応できずに困っている子ども達もいると聞く。その言葉を聞くと、卒園した後も長く関係が続けることができれば、子どもたちが小学校に進学し、新しい環境で躓きや困ったことなど何かあれば帰ってくることのできる安心基地としてありたいと考えた時に、次の新しい展開をしていく必要があるのではと思っている。
当園は、保育園からの出発で子どもたちの為に、保護者の就労支援や保護者の思いを受けながら取り組むという理念がある。この理念をもとに「多機能化」を行い、全ての子ども達が来られる場所を目指している。園の中に多種多様な専門職がいることで、子ども達一人一人を丁寧にみることのできる施設として、当園は今後「障がい児発達支援施設」や「放課後等デイサービス」「学童」や「子ども食堂」「学習支援」と言ったことを考えていこうとしている。
7.おわりに
・取り組みを「見せる化」ということに強く共感した。なぜならば、安全で良質な保育を行っているということをどのような形で伝えるか悩んでいたからだ。
当園の見学者の傾向をみると、実際に入園するまでに複数の園を見学する家庭の増加、見学に夫婦で訪れ入園を決めようとする姿が多くみられるようになっている。
当園では、園の事を知ってもらい「この園に通わせたいな」と興味をもってもらうために、現在、SNSや児童館等にチラシを置いてもらったり、地域交流や園開放等で「もとしろ認定こども園」という園があるんだということを発信している。この発信のおかげで、当園に興味をもってくださっている方が増えている。
「知ってもらう」から次に当園の「保育や方針を理解」してもらいたいと、オープンスクールを行っている。オープンスクールを行う理由として、保護者の方に「この園なら安心して預けることができる」「年長児の姿を見てこんな子どもたちに成長するのだ」と成長への喜びや期待を持ってもらう為に取り組んでいる。
しかしながら、安全で良質な保育を行っているという「見せる化」をどのような形で行うのが、保育の理解へとつながるのかと悩んでいる。
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